品川新駅「高輪ゲートウェイ」に決まった本当の理由。

品川新駅「高輪ゲートウェイ」に決まった本当の理由。

高輪を歩いているとよくみかけるポスターがあります。

高輪

地元住人が「高輪」を推していた事実がよくわかります。店の軒先に貼ってあったりしますが、風雨に打たれ朽ち果てている姿もよく目にします。

そんな住民の声を取り入れたのか、いないのか不明ですが発表された新駅の名称には前半に高輪の文字が入ります。後半のゲートウェイは、歴史的に”入り口”機能を果たしてきた高輪らしさを出すため、そして横文字なのは国際色を出すため、だそうです。(要約すると)

ゲートウェイに決まった本当の理由

昨日の発表から、今朝のニュースまで大体、批判的なものが多かったです。

「ふさわしくない」

「ダサい」

「公募の意味がない」

など、地域住民だけではなく、鉄道ファンやオピニオンリーダー達も苦言を呈する状況です。

私は思うのですが、JR東日本はこういう意見や報道がなされるのを、予見できたはずです。膨大な数の調査やマーケティングを大企業なら行っているはずですし、社内には頭のいい人間やセンスのいい人間など大量にいて、この案件を担当していたはずだからです。

ですので、私は、JR東日本は敢えて、批判も覚悟の上で「ゲートウェイ」という文字を駅名に入れたと考えます。

JR東日本が意図してやったことだと思うわけです。

前提の仮説・知識として

少し別の話というか、別の駅の話をします。品川駅です。

品川駅は新幹線が止まりますし、羽田空港へも近く、まさにゲートウェイ的な働きをしています。そこに異論を挟む余地はないでしょう。

しかし、商業的な活性化や街の整備という観点で、見た時、果たして品川駅は優等生と言えるでしょうか?

JR東日本の有する駅は数多ありますが、例えば東京駅や新宿駅を考えてみてください。平日や土日は、商業施設のおかげで、人でごった返しています。また、世界の有名店やブランド店、人気飲食店も数多く、トレンドの中心であったります。

  • 東京駅は丸の内側には丸ビルとか、KITTE、オアゾ、八重洲には大丸、グランルーフ等
  • 新宿駅にはルミネ、そして最近はバスタ等

この2つの駅以外にも、繁栄・成功している駅は、渋谷、池袋、上野等、と枚挙に暇がありません。

ところが、品川駅はどうでしょうか。高輪口は昔からありますが、新たな商業施設や目新しいものはありません。そして、港南口はかつて、JR東日本が新幹線の発着駅になることを想定して、整備した一大プロジェクト地域だったはずです。確かに立派なオフィスビルは立ち並びました。平日のビジネスパーソンの多さには正直、辟易します。しかしながら、休日の港南口はどうでしょうか。品川インターシティや周辺では、人をあまり見かけません。このあまりいないというのは、先程例にあげてきたJR東日本の優良駅と比べてという意味です。東京駅や新宿駅の再開発プロジェクトに比べ、品川駅港南口の体たらくは火を見るより明らかでしょう。

品川駅だけは、それらの駅より商業的に負けて当然、負けることを見込んで開発したということは、営利企業なら有り得ないことです。当然、当時は勝つ目算や計画があったはずです。

結局、JR東日本は、商業的には品川駅の開発に失敗しました。その証拠に、先程も述べましたが、東京駅や新宿駅等の人気駅に比べて、土日は閑散とした駅エリアであることを挙げます。そして、ブランド店、人気飲食店にも恵まれていません。(誘致してもダメだということなのでしょう)

品川駅(特に港南エリア)の開発が上手くいかなったという意見に対しては異論もあるでしょう。公式にもそんな情報はありません。しかし、不動産や再開発に詳しい人間なんかは、結構言っていることです。(鵜呑みにするかしないかは、アナタ次第ですが笑)

つまり、「高輪ゲートウェイ」に何故、ゲートウェイが付いたか、を論じるための前提仮説・知識として、私は「JR東日本が品川駅エリアの開発に失敗した過去を引きずっている」ということを念頭におかせてもらいたいのです。

2024年に新駅エリアは”完成”するという事実

新駅である高輪ゲートウェイ駅は、2020年春を開業の目標にしています。これはオリンピックを見越してのことです。しかし、このエリアの本番とも言えるイベントは実は2020年のオリンピックではないのです。JR東日本が目標としているのは2024年完成の再開発プロジェクトなわけです。

 

 

以前、私が行った新駅周辺の再開発プロジェクトに関するJR東日本の説明会でも、開業当初は田端駅程度の乗降数だが、2024年には新宿等に匹敵すると言っていた記憶があります。JR東日本としては、新駅エリアを確実にものにしたいと考えているわけですね。かつての品川駅のような二の舞になるわけにはいかないのです。

これはすなはち、新駅を軸とした、「ゲートウェイ構想」なわけです。

要するに、地域開発プロジェクトのため

JR東日本が、このゲートウェイ構想を確実に成功させるためには、2024年までずっと人心を掴みつつ、話題を提供していかなくてはなりません。

2020年の東京オリンピックで、その話題が打ち切りとなっては駄目なわけです。

どうしても2024年まで、ずっとこの新駅エリアに注目して欲しい。そして、目立ちたい。

そこで、まず駅名にゲートウェイと入れて、目立つことを考えたわけです。

これがもし、「高輪」駅だったら、山手線の一つの駅として、オリンピックの盛り上がりとともに、徐々に人々の記憶から消えていくことでしょう。

それを炎上覚悟で、ゲートウェイと入れることで、人々の記憶に残したわけです。こうすることで、オリンピック後もネタとして盛り上がると踏んだのでしょう。

そこに、JR東日本の狙いがあるわけです。

ゲートウェイが付いた真の理由まとめ

  1. JR東日本はかつて、品川駅の再活溌プロジェクトにおいて、失敗した。
  2. その隣接駅である、新駅では今度こそ、商業的に成功させたい。
  3. そのためには、2020年オリンピック後も、新駅が人々の心に残る措置や工夫が必要。
  4. そこで、批判や炎上も厭わず、それらを計算した上で、少し変わった名前を付けた。

かなり、邪推かもしれませんが、きっとこれが真相なのではと、私は感じました。