中古マンション購入予定者は最初の内覧で必ず聞きなさい②

中古マンション購入予定者は最初の内覧で必ず聞きなさい②

前回の「不動産業者は情報を小出しにしてくる」に引き続き、中古マンション購入手引き手引き的コラムの続きである。

不動産業者は契約後に情報を出してくる

まずここでいう契約とは何のことをさすのか、不動産購入のプロセスを順に示し、解説したい。多くの場合、中古マンションを購入する場合、住宅ローンを組むことが想定される。すなはち、ローンの融資が実行されるまでが、住宅購入のプロセスなわけだ。

  1. 内覧
  2. 住宅ローン事前審査(仮審査)
  3. 売買契約・手付金
  4. 住宅ローン本申し込み(本審査)
  5. 金銭消費貸借契約(金消契約)
  6. 融資実行・物件引き渡し

私が言う契約というのは3番目にあげた売買契約のことだ。この際、手付金を売り主に対して支払うことが多いだろう。こういう行為が全て、外堀りを埋めていく感じの行為で、我々買い手は身動きがとれなくなっていく。いや、すでに2番に差し掛かった段階で、撤退を意識するのはかなり難しいかもしれない。なぜなら、この時点ですでにあなたは色々な覚悟を決めているからだ。巨額のローンを背負う覚悟、そして新生活に対する希望も持ち合わせているだろう。

こうした事情から2番、ないしは3番に差し掛かった時点で、不動産業者の勝ちなのだ。もちろん、契約に移る前に慎重になれる人もいるだろうが、ほとんどの人はこのまま雪崩込むように契約してしまうのではないだろうか。

不動産屋はその心理につけ込んでくる。ローンの仮審査に持ち込み、問題なければささっと契約へと場を移したいのだ。そうなれば、もはや客が断れないことをよくわかっている。(売買契約を済ませると、客事由におけるキャンセルは手付金の放棄、すなはち違約金を取られることになる)

だから、不動産屋は契約に不利な情報は契約後に言ってくる。契約後というのは穏やかな話ではないが、重要事項説明の中で言ったりもしてくる。ぎりぎり契約”前”だろうか。

住宅ローン

できれば、住宅ローンの仮審査前に全ての情報を聞いておきたい

もし皆さんに勇気と行動力があれば、ローンの仮審査に入る前にあらゆる質問を不動産屋に投げかけて欲しい。さもなくば、流されて契約に行くこと必至だからである。

したがって、内覧に行った際に全て聞くべきだ。

  1. この物件は築何年か
  2. 耐震性能はどの程度か(耐震工事はしているのか)
  3. 前の住人はどんな人だったか
  4. 周囲の住人はどんな層か(ファミリーなのか一人暮らしなのか、年配なのか)
  5. 管理人は常駐か
  6. 管理費、修繕積立費の未納はないか(他の住居の人間含め)
  7. 大規模修繕工事の実施有無と計画はどうなっているか
  8. 電気はつくか、水道は出るか、湯は出るか、水圧は問題ないか(多分、付かなかったり、出なかったりするんで、現況の契約状況を聞こう)
  9. 既存不適格など現行の建築法に照らし合わせて、課題や問題はあるのか
  10. 住宅ローン減税の対象になりうるか

今挙げた10点だけでも確実に聞いた方がいい。もちろん、即答をもらえなくていい。聞けばすぐにわかることなので、オーナーや管理組合に聞いてもらおう。繰り返すが、聞けばすぐにわかることだ。返答が遅いようであれば、その営業マンや不動産業者はスキル不足だし、そもそも返答をわざと遅らせているの可能性が濃厚だろう。

現在私が住んでいるマンションを売りに出すとするなら、売り主(オーナー)として、上記の10点はすぐにお伝えすることができる。すぐというのは、数日ではない。本当にすぐだ。数秒で返答できる。むしろ、担当の仲介営業の担当へ、事前に全てお伝えしているくらいだ。

隠すような瑕疵なら、後々に損害賠償請求などに成りかねない。オーナーはそんなリスク取らないだろう。

まとめ

今回は、「物件購入の際、住宅ローン仮審査前に、聞きたいことは聞いておこう」というテーマだった。

客の質問など、本当に簡単なことばかりだ。

誠実に回答してくれる営業マンを探そう。

もし、回答を渋るようなら、直接売り主やオーナーとコミュニケーションを取りたいと揺さぶりをかけてみよう。嫌がられるだろうが、効果覿面である。不動産業者に対して、強気かつ強引にことを進めるのが、納得の行くマンション購入につながると私は思っている。